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情報科学における論理 演習問題

11 Apr, 2021 - 1 minutes
『情報科学における論理』の演習問題に対する解答です.間違い・誤植など多分に含まれていると思います.ご了承ください. 第一章 命題論理 問 1.1 次の 1), 2) のそれぞれは正しいか.正しいときにはその証明を,正しくないときには反例を与えよ. $A \supset B$および$A$がともに充足可能ならば,$B$も充足可能である. $A \supset B$がトートロジーで$A$が充足可能ならば,$B$も充足可能である. 解答 $A \supset B$が充足可能なら,ある付値$v$に対し,$(v(A) = f \lor v(B) = t) = t$となる.よって,問題は次のように言い換えられる.「ある付値$v_1, v_2, v_3$に対し,$(v_1(A) = f \lor v_1(B) = t) \land (v_2(A) = t) \supset v_3(B) = t$が成り立つ」.しかし,例えば$v_1(A) = f$かつ$v_2(A) = t$である場合を考えると,$B$が充足不可能であっても,$(v_1(A) = f \lor v_1(B) = t) \land (v_2(A) = t)=t$が成り立つことがわかる.したがって,反例が見つかったので,1 は正しくない. 問題は次と同値である.「[すべての付値$v$に対し,$(v(A) = f \lor v(B) = t) = t$が成り立ち],かつ,[ある付値$v$に対し,$v(A) = t$が成り立つ]ならば,ある付値$v$に対し,$v(B) = t$が成り立つ」.ここで,「すべての付値$v$に対し,$(v(A) = f \lor v(B) = t) = t$が成り立つ」なら,すべての$v$について,$v(A) = f$か$v(B) = t$のどちらかが常に成り立っている必要がある(両方成り立たないということはない).そして,「ある付値$v$に対し,$v(A) = t$が成り立つ」なら,少なくとも一つの$v$について$v(A) = t$である必要がある.この 2 つは両方成り立っている必要があるから,「すべての$v$について,$v(A) = f$か$v(B) = t$のどちらかが常に成り立っている」かつ,「少なくとも一つの$v$について$v(A) = t$である」.よって,少なくとも一つの$v$について$v(A) = f$が成り立たなくなるため,「すべての$v$について,$v(A) = f$か$v(B) = t$のどちらかが常に成り立っている」には,ある$v$について$v(B)=t$が成り立っている必要がある.したがって,$B$は充足可能であるため,2 は正しい.